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防災機能の向上と産業発展・経済成長 「防災」

 
 大阪湾は、漁業活動の場や交流の要所として、古来から利用され、沿岸地域には人口・経済・産業・文化が高度に集積している。
 大阪湾地域は室戸台風、ジェーン台風、第二室戸台風などにより、過去に幾度となく高潮の被害を受けてきたが、背後に集積する人々の生命、財産を守るため、防潮堤等の海岸保全施設の整備が進められ、安全・安心な国民生活を支えてきた。
 また、戦後復興・経済成長期には、主に浅海域における埋立てによる土地造成と防波堤の整備により、物流・生産機能が強化され、日本の高度経済成長を大きく支えてきた。
 

防災 -高潮対策-

 
◆防波堤の整備
大阪湾地域では、室戸台風、ジェーン台風、第二室戸台風などにより、過去に幾度となく高潮の被害を受けてきた。
 
大阪湾において発生した主要な高潮(昭和20年~平成21年瞬間最大偏差) 単位(:m)
年月日 原因 下津 和歌山 淡輪 大阪 尼崎 神戸 洲本 小松島
1950.9.3

ジェーン台風

1 1.1 - 2.4 - 1.7 1.2 -
1951.10.15 ルース台風 - - - 1.1 - 1.2 - -
1954.9.26 洞爺丸台風 - - - 1.5 - 1.2 - -
1960.8.26 台風第6016号 - - - 1.1 - 1.1 - -
1961.916 第2室戸台風 1.6 2.2痕 - 2.6痕 - 1.9 1.9 -
1964.9.25 台風第6420号 - 1.1 - 1.8 2.1 1.7 - -
1965.9.10 台風6523号 - 1.4 - 2.2 2 1.9 1.3 -
1975.8.23 台風7506号 - - - 1.1 1.1 - - 1.0
1979.9.30~10.1 台風7916号 - 1.2 1.2 1.3 - 1.1 1.1 -
1987.10.17 台風8719号 - - - 1.1 - 1.08 - 1.09
1991.9.27 台風9119号 - -   1.22 - 1.1 - -
1993.9.3~4 台風9313号 - - - 1.12 - 1.13 - -
1996.8.14 台風9612号 - - - 1.12 - 1.02 - -
1998.10.16~18 台風9810号 - - - 1.53 - 1.36 - -
2003.8.6~10 台風0310号 - 1.40 1.39 1.35 - 1.30 1.43 1.50
2004.6.20~21 台風0406号 - 1.17 1.11 1.16 - 1.02 1.05 1.32
2004.7.30~31 台風0410号 - 1.52 1.40 1.45 - 1.40 1.27 1.51
2004.8.4 台風0411号 - - - - - - - 1.22
2004.8.28~31 台風0416号 - 1.70 1.62 1.83 - 1.77 1.48 1.66
2004.9.4~8 台風0418号 - 1.13 1.36 1.68 - 1.65 1.27 -
2004.9.29~30 台風0421号 - 1.63 1.57 1.83 - 1.58 1.42 1.55
2004.10.18~21 台風0423号 - 1.59 1.76 1.74 - - *1.43 1.55
2005.9.4~8 台風0514号 - 1.33 1.27 1.29 - 1.23 1.19 1.41
2006.9.16~18 台風0613号 - - 1.09 1.04 - 1.01 1.07 1.01

注)痕:痕跡による。
  *:期間中に欠測があったことを示す。

出典:気象庁「平成14年 潮位表」(平成13年11月)
気象庁ホームページより作成
 
大阪湾および紀伊水道に襲来した主要な津波の高さ 単位(:m)
地震\地点 和歌山県 大阪府 徳島県 備考
湯浅 下津 海南 和歌山 淡輪 大阪 撫養 徳島 小松島

宝永
(1707.10.28)

(6) - - - - 2.7 - - 1.0 -  
安政南海
(1854.12.24)
7.5 4.5 4.0 - - (2) (2) - - (2)  
東南海
(1944.1.13)
- 0.4* - - 0.2* - 0.2* - - -  
南海道
(1946.12.21)
3.6 3.0 4.0 1.9 0.3* 1.2* 0.6 0.6 1.1 2.0 周期約50分と
いわれている。
注)津波高は、海面から波頂までの高さをいい、
*印は検潮記録を、()印は他の文献からの推定値を示す。
出典: 「大阪湾環境図説」(国土交通省近畿地方整備局、平成15年2月)、気象庁ホームページ
 
 戦後復興期においては、地盤沈下対策を含む臨海部の高潮対策が緊急の課題となった。高潮対策事業は基本的には地区毎に防潮堤で囲む方式が採用され、臨海部各地区で防潮堤の整備が実施された。
 
工事中の船町防潮堤
出典: 「西大阪高潮対策事業誌」(大阪府・大阪市、昭和35年3月)
 
安治川左岸防潮堤
出典: 「西大阪高潮対策事業誌」(大阪府・大阪市、昭和35年3月)
 
◆防波堤の改良・整備
 防潮堤の整備により高潮への備えは一応完了したものの、その後も想定台風の見直しや新しい耐震基準に基づく防潮堤の改良・整備が必要であった。特に大阪港の水際線は港湾活動が活発であるため、防潮堤の整備には港湾作業を前提に、多くの鉄扉や水門の設置が必要となり、これらの管理体制の強化が特に重要な課題であった。
昭和51~55年頃には、水門を含む400余基の防潮堤の鉄扉を対象に、閉鎖状況をセンサーによって常時把握し、開閉の指令を発信する大阪港防潮扉集中監視システムを設置した。
 
尻無川水門(大阪府)
出典:三菱重工業株式会社ホームページ
 
◆尼崎閘門
 尼崎市は市域の大半が「海抜ゼロメートル地帯」であるため、台風による高潮や波浪の猛威を幾度となく経験してきた。これらの高潮の侵入を防ぐため、閘門式防潮堤の整備を行い、昭和29年度に第一閘門が、昭和39年度に第二閘門が完成した。しかし、その後の地盤沈下や施設の老朽化によって改良の必要性が生じ、新第二閘門が平成6年度に、新第一閘門が平成14年度が整備された。
 
 現在では、尼崎地区の海岸保全施設(閘門、水門、鉄扉、排水機場)の監視、運転操作、詳細な気象状況の把握など情報通信技術を活かして機能の高度化を図るとともに、災害に備え緊急に必要な資材等を備蓄し、安全で快適なくらしに役立てようと集中コントロールセンターが整備されつつある。
 
 
 

防災・地震対策

 
◆震災復興
地震大国ともいわれる日本。いつ大規模な震災に見舞われるか予断が許されず、その際の備えを怠れない。
中でも社会生活に大きな影響を及ぼす港湾施設は、被災からの速やかな復旧・復興が求められる。
 
『未曾有の大震災』
 平成7年1月17日午前5時46分に発生した阪神・淡路大震災(M7.2)により、6.000人を超える犠牲者、家屋・ビルの倒壊、ガス・電気・水道等のライフライン、道路・鉄道交通網、港湾施設等の公共施設の被害が発生した。
 また、産業活動にも甚大な影響を与え、工場の直接的被害による営業停止ののの他、交通インフラ・ライフラインの被害などにより、被災地域内のみならず、被災等により、被災地域外でも波及的な被害が生じた。なかでも、神戸港の被害は、日本経済のみならずアジアの経済活動に深刻な影響を与えた。
 
 
『港湾施設の被害』
 この地震により、神戸港、尼崎西宮芦屋港、大阪港をはじめとする24港で被害が発生した。
 なかでも日本有数の近代港湾施設を誇った神戸港は、耐震強化岸壁を除き、ほぼすべての施設が甚大な被害を受けた。そこで港湾施設を2年間でほぼ完全に復旧することを目指し、各種工法が検討され設計・施工に用いられた。また、その際に蓄積された技術は、その後の港湾整備に反映されている。
 
『復旧設計の考え方』
1. 原形復旧を原則とする。ただし設計震度を引き上げ施設の耐震性を向上させる。
2. 被災施設の制約条件を考慮する。
3. 法線前出し幅を最小にとどめる。
4. 再利用可能施設は利用する。
5. 早期施工可能工法を検討する。
6. 構造形式の多様化に配慮する。
7. マイナス7.5m以上の大型岸壁は適切な液状化対策を行う。
以上の基本方針のもとに設計を実施した。
 また、今回の地震で耐震強化岸壁の安定性が実証されたことから、耐震強化岸壁を大幅に増強し、適所に配置することによって港湾として耐震性を向上させた。
 
『復旧工事で取り入れた新工法・新技術』
 短期間での工事完了、耐震性の強化という震災復旧工事の技術的課題の解決策として、復旧工事ではジャケット工法、PBS工法、軽量混合土(SGM)工法など多くの新工法・新技術が採用された。
 
 
 
『防災拠点機能強化』
 平成7年の兵庫県南部沖地震(阪神・淡路大震災)によって、当時国内で最大の国際コンテナ港であった神戸港が壊滅的な被害を受けた。これを教訓に、神戸港は緊急時の防災拠点として神戸市および周辺地域の防災体制をサポートするため、災害対策本部機能等の様々な機能を有する防災港湾として整備が進められている。
 また、大阪港等においても、安全で安心できる港を目指して港の防災拠点としての機能強化の取り組みが行われている。
 一方、21世紀前半における東南海・南海地震の発生可能性が政府の中央防災会議より示されている。港湾はこれらの地震災害時に津波から都市を防護するとともに、救援物資輸送、震災からの復旧活動において、重要な役割を担うこととなる。
 
阪神・淡路大震災による被害
  耐震強化されたコンテナターミナルのイメージ
 
 
防災拠点のイメージ
 

 


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